子供の頃から、公の場で文章を書いて伝える仕事がしたい、と思っておりました。
All About（当時All About Japan）立ち上げ前にパンのガイドサイトの必要性を伝えて立候補したときは、
初めて自分の名前でする仕事に身の引き締まる思いでした。
パンに特化して書き始めたのは、これがきっかけです。

パン業界、関連企業や団体、愛好者のサークルなどに属していなかったため、ゼロからの人脈作りは大変でしたが、
逆に清水美穂子個人として、自分だからこそ伝えられることを意識し、
既存の媒体とは異なる情報を提供できたらいいな、と思いました。

All Aboutのパンガイドとして、パンに関わるすべての人たちを取材できる立場でいたいと思いました。
執筆の場を得たのが、とにかく幸せなことでした。

素晴らしい人と人とのつながりを経験しました。
取材は学校にはない学びの場で、お会いする人は皆、先生となってくれました。

単なる情報だけではなく自分の意見も発信できる場を持ち、その内容を多くの方と共有でき、次の活動へと向かっていくことができました。
店の紹介記事ならば、その店の魅力の向こう側にスポットを当て、多くのユーザーにそれを拡散することができました。

また、本当によいものが売れないといった、悩みや辛さに触れた時は、それを少しでも解消する方法を考え、活動するようにもなりました。
「取材させてくれてありがとう」と、こちらが言い、「書いてくれてありがとう」と相手が言う。
「情報をありがとう」と読者が言い、「読んでくださってありがとう」とわたしが言う。
「ありがとう」の連鎖の日々です。

All Aboutガイドとしてだけでは残念ながら経済的に自立できないので、別の仕事を本業にしている方がほとんどだと思います。
取材に関わる出張含めすべての経費は自腹となるので、遠方から情報提供やお誘いがあっても、簡単には足を伸ばすことができません。

でもガイド業務は趣味ではなく、顔と名前を出し、文章に責任を持ち、少なからず人や社会に影響力を持つ、本格的な仕事です。
記事は下調べやアポイントメントを取り付けるところから始まって、
インタビュー、撮影、執筆、食材の買出しからレシピ作成、スタイリング等、すべて一人でこなさなければなりません。
話題の人気店や新店の取材は、お店の方やお客さまへの気遣いも必要とされ、苦労は少なくありません。

やはり好きだからこそ、できる仕事だと思います。

今の世の中、情報を持っている人はたくさんいて、その情報を拡散するツールも、
ツイッターやフェイスブックがありますから、誰でも簡単に手にすることができます。
氾濫する情報の海から、ユーザーや世の中に有用と思われる情報をピックアップし、光を当てて見せるのがガイドの仕事かもしれません。

経歴や資格よりも、広い視野と「自分だからこそ、伝えられること」を持ち、
それを多くの人に伝えていく力がある人が、ガイドに向いていると思います。

また、ガイドは主にウェブサイトで情報発信していきますから、読者とのコミュニケーションの基本は文字情報となります。
文章を書いて人に伝えることが得意だと、より楽しくガイドの業務が行なえると思います。