リクルートが発行していた不動産情報誌の『住宅情報』に、創刊間もない頃から記事を書いたり、
マイホーム相談などをやっていたりしまして、その当時の編集長であった大久保さんからお声掛けをいただいたのがきっかけでしたね。

ただ、その当時はまだ「どんなことが出来るのかな」と思っていましたし、ネットのこともまだよくわかりませんでしたので、
そういうものを仕事を通して覚えることで、逆に色々な情報を得られるんじゃないかと思ってやってみた、というのがありますね。

私は、「人生の中で一番楽しいあそびは、家づくり」だと思っているんです。
だから家は、選ぶものではなくて創るものですよ、と言ってきました。
ですから、それ（家づくり）をなぜ人任せにしてしまうんだろう、ぜひ家づくりに参加してくださいと思ってきたんです。

All Aboutでは、それを「共創の家づくり」という言葉で発信してきたんですが、
最近は、家づくりを考えている方たちがそのあたりを理解してきました。
女性だけでなく旦那さんのほうも参加をされるようになってきましたし、家族のあり方や男性のかかわり方も変わってきました。

一方で、私の記事等を読んだうえで、「自分はハウスメーカーが合っている。
私は建築家が合っている。私は地域の工務店が合っている」という風に、
何もわからない状態から自身の意見や考えをもてるようになる方々が出てきたことも良かったなと思っています。

建築のことについて書こうとすると、基礎や地盤はこうですよ、建物はこうですよ、
といった具合で単なるノウハウ記事なら2～3年もあれば書ききれてしまうんです。

ただ、All Aboutガイドとしては継続して記事を書いていかないといけませんから、自分の切り口や考え方だけではなくて、
その時代時代を彩る言葉をかぎ分けて、それを自分の文章に落としていかないといけないという、そういう苦労がありますね。
そうでないと、読む側が興味を持たなくなってしまうと思うんです。

自分が時代の中で、どういう言葉を作って、その言葉を発信するか、ということが重要なんだなと。

キーワードになる言葉を自分がもっていないといけないんだと思いました。
毎日、新聞を見て、気になった言葉があったら切り抜いておくですとか、そういったことは続けています。

デザインの言葉で、「10年先までに時代を飛ばすのか、20年先まで時代を飛ばせるのか」というのがあるんです。
例えば、「サザエさん」でいえば、昭和24年に始まって60年経つ今でも大きな視聴率を得ているんですよね。
漫画が時代を飛ばせているんです。

その意味では、今後All Aboutガイドになる方の想いが、どこまで時代を飛ばせるのか、というのが、
その人の想いの力になってくるとも思うんです。そして、そういう人々が集まっていくと、より強いガイドグループになっていくと思うんです。

ガイド自身が、専門性だけではなくて、そのテーマに関する考えや想いをもつことで、
そこに共感する一般の皆様をリードして一つのコミュニティを作っていく。
そういう形ができることは社会的にも良いことだと思います。